「目を離さないで超一流のボクサーの技術戦を見て欲しいな」

元東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオン
仲里 繁 さん
自分は、フルトンが最初から足を使うと思いますね。アウトボクシングをして井上尚弥くんが追う形。
フルトンは常に左右に動いて、自分が決して打たれない距離を保ってね、”ジャブジャブ、コンビネーション”の中で、ジャブだけヒットさせればいい、みたいなボクシングで、尚弥くんのリズムを崩そうとするんじゃないかな。そのリードジャブが結構当たり出して、尚弥くんがやりにくさを感じて少しでも動揺するようなことがあれば、徐々に2発、3発、右ストレート、コンビネーションを出していく。徹底して尚弥くんの右ストレート、カウンターを警戒しながらね。そうなるとフルトン優位に流れる危険性はあるけど、フルトンが尚弥くんの想像を超えるやりにくさを発揮しない限り、その可能性は低いと思うね。
展開予想としては、尚弥くんが回を追うごとにプレスを強めていって、フルトンの次の次の動きを先読みして、ここぞのタイミングでパンチを出していく。
尚弥くんのプレッシャーがきついとフルトンも打ち合わざるを得ない場面が出てくると思うんだけど、それに付き合ってしまえば倒されるのをわかっていると思うから、フルトンは打ち合うそぶりを見せてクリンチするとかして、打ち合いは避けると思うね。がちゃがちゃと、アッパーなりヒジ打ちに近い、ややダーティな動きをして尚弥くんを苛立たせるというか意識を分散させるようなテクニックを使いながら、ジャブでもいいから一発いいパンチを打って逃げて、またくっついて、を速い動きでやる。
フルトンと尚弥くん、どちらも破格のスピードの持ち主だけど、足の動きだったり全体的なスピードがあるのはフルトン。短距離走的な速さというかな、瞬間的なスピードや瞬発力は尚弥くん。一瞬の隙を突く速さも凄いから、今まで綺麗に貰ったことのないフルトンにも当たるし、効く、と思うな。
結果予想は、尚弥くんのTKO勝ち、ただ序盤はないかなと思ってる。フルトンの距離感、足の速さやディフェンステクニックは、さすがに1、2ラウンドでは測りきれないんじゃないかと思うから。中盤以降、そう7、8ラウンドあたりじゃないかと思うね。
この試合、ボクシングをあまり見たことがない人だと、速すぎて何が当たったのか、何が起きたのかわからない場面が多いかもしれない。どうか目を離さないで超一流のボクサーの技術戦を見て欲しいな。
フルトン側を見るなら、頭の動きやパンチのかわし方、足の動きだったり、世界一流の速さとテクニック。尚弥くん側なら、そのチャンピオンを尚弥くんがどう捕まえるのか。そして倒すシーンをね。
なかざと・しげる◎元東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオン。戦績33戦24勝(18KO)8敗1分。現在、ボクシングクラブオキナワ会長。日本ライト級王者、仲里周磨の父であり、トレーナーでもある。