[取材の裏側]小國以載
(元IBF世界スーパーバンタム級チャンピオン)

写真_本人提供
※『ボクサーズ』Instagram版に掲載(8月14日)したものに、加筆・修正
今年5月、東京・浅草橋にオープンした『Be STAR FITNESS BOXING GYM』は、5歳上の兄・敬曜(たかあき)さんがオーナーを務め、自身は会長に就任。2人ともトレーナー兼任で、毎日心地好い汗を流している。
負傷ドローに終わったものの、「オグニユキノリ、ここにあり!」を強烈に印象づけた昨年5月の栗原慶太(一力)戦が3年ぶりの試合。そして、ふたたびブランクをつくり会長就任……という流れから、てっきり「そういうこと」なのかと思ったが、これは記者の完全な早合点。そもそも会見もしていなければ、“〇〇届け”だって出していない。先入観とはおそろしいものである。
「選手兼会長っておもろいでしょ。僕のような地味なやつは、何か人と違うことやらんと目立てないんですよ」と、きわめて失礼な記者の思い込みを一笑に付す。相変わらず器の大きい男なのである。
「中谷(正義)は辞めてまったけど、海外でデカい試合をやって魅せてくれた。一翔は変わらず、世界のトップに居続けている。もう35のおっちゃんですが、僕も負けてられへん」と、同学年で関西アマチュア時代からの知己の友たちから大いなる刺激を受けている。
U-NEXTの海外ファイト解説や、YouTube『A-SIGN』チャンネルでの軽快でわかりやすい語り口も大好評。今回の取材テーマ「井上尚弥vs.スティーブン・フルトン予想」は、すでに語り尽くしているかとお伺いを立てたところ、また別の手法で様々な表現をしてくれた。中でも栗原戦を例に挙げつつ、「12枚のカードの出し合い、切り合い」と長丁場の駆け引きをリアルに表してくれた解説は、記者だけでなく、読者のみなさんをも大いに唸らせたはずである。
7月21日。指導を終え、ジムの後輩・中井龍(角海老宝石)と、自身のジムでトレーナーも務める宮本知彰(一力)の応援で後楽園ホールへ。ともにKO勝利を飾った関西の後輩たちからも刺激を受けた彼は、お疲れにもかかわらず、同夜、律儀に電話取材に応じてくれた。しかも長時間にわたって。
その後、噂に上っていた大一番が正式発表された。元世界3階級制覇王者で、スーパーバンタム級で井上尚弥(大橋)との決戦を目論む、あのジョンリエル・カシメロ(フィリピン)との一戦だ。以来、緊張と興奮に包まれながら、両雄が対峙する瞬間を指折り数えたファンも多いことだろう。
そして迎えた10月12日今夜。小國はふたたび一世一代の大勝負に挑む。その雄姿をリアルタイムでくっきりと目に焼きつけよう。