ケイティ・テイラーが炎のリベンジ

Photo Courtesy of Mark Robinson/Matchroom Boxing
Text Yuriko Miyata
「この再戦を待つ6ヵ月は、これまでの人生で一番長い6ヵ月だった」。
アイルランド・スポーツ界のセレブ。女子ボクシング界の顔。しかし、男女含め最も飾り気のない世界チャンピオンに違いない。ドレスアップもリップサービスもなく、静かに微笑むケイティ・テイラーはただし、リングの中でだけは誰より雄弁だ。初黒星のリベンジは、37歳の女王をなおさら燃え上がらせていただろう。
11月25日の土曜日、アイルランド・ダブリンの3アリーナで行われた激闘必至のリマッチ。統一女子世界スーパーライト級チャンピオンのシャンテル・キャメロン(イギリス)と挑戦者テイラーの10回戦は、期待に違わぬノンストップの攻防に末、判定2-0(96対94、98対92、95対95)でテイラーが勝利。いまも保持するライト級に続き、2階級の主要4団体王座を手中に収めた。

女子ボクシングの範疇を超えた名作となったアマンダ・セラノ(プエルトリコ)との戦いの第二弾がセラノの怪我で先送りとなり、テイラーが望んだのが一階級上のキャメロンに挑戦するという形の、無敗4冠対決だった。今年5月、今回と同じ会場。だが体格差、攻撃の重みの差はみえて、僅差2-0でキャメロンが勝ち、テイラーはプロ23戦目で初めて黒星を味わった。以来半年。前戦の印象から再戦の予想はキャメロンに傾いていた。
初回、キャメロンのジャブ、ワンツーが先行。中盤、その左ジャブでテイラーが後方に吹っ飛んだ。ダウンだったのかどうなのか。倒した方のキャメロンの反応からすると、テイラーの足を踏んでいる感覚があったのかもしれない。レフェリーは即座にスリップと判断した。2回に入るとテイラーがピッチを上げた。キャメロンの重いジャブをかいくぐり、4発、5発、まとめ打つ。4回にキャメロンが額左側をカットし、そこからは流血戦となった。キャメロンの右アッパー、右ストレート、左フック。強い一撃を受けても、テイラーは引かない。最後のゴングまで、瞬きを忘れたように目を見開き、攻めに行った。

判定を聞き、歓喜を絶叫したテイラーの横で、キャメロンはライバルを拍手で称えた。テイラーは24戦23勝(6KO)1敗。キャメロンは19戦18勝(8KO)1敗。ともに土をつけ合い、イーブンとなった女王対決は、直後から「第3戦」に向かった。テイラーは母国アイルランド最大82000人収容のスタジアムを会場に挙げ、「クロークパークで3戦目をやりましょう」と、呼びかけた。
