ベナビデスがカネロ戦へ熱くアピール

Photos courtesy of Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Text_Yuriko Miyata
大きな祝日、感謝祭の週末にラスベガスで行われたShowtime Boxing最後のPBC興行。メインのWBC暫定スーパーミドル級タイトルマッチで、王者デビッド・ベナビデス(アメリカ、28勝24KO)が世界2階級制覇のデメトリアス・アンドレイド(アメリカ、32勝19KO1敗)からダウンを奪い、6回終了、棄権に追い込んだ。「168ポンド階級最高のカード」として臨んだ戦いで元オリンピック代表のベテラン技巧派サウスポーに初黒星を与えたベナビデスは、熱望してきた同級4団体王者サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)との統一戦を改めてコール。会場のファンに「ベナビデス対カネロ、見たい人?」と呼びかけた。
プロモーション期間から終始友好的だったベナビデスとアンドレイド。待ちが多いベテランがこの日はリング中央で応戦し、試合は最初から盛り上がった。アンドレイドが大柄ベナビデスの重そうなパンチを巧みに避けて動いて打ち返し、ベテランの意地をみせる。だが根気よく強打を狙ったベナビデスが4回にはペースをつかんだ。ラウンド終盤、右フックでアンドレイドをノックダウン。右フック、右クロス、ショートレンジで猛烈な追い打ちをかける。ドクターチェックを経てスタートした6回が終わると、アンドレイド・コーナーが降参を決めた。
ニックネーム“メキシカン・モンスター”の名付け親であるマイク・タイソンの祝福を受けたベナビデスは、「圧倒的な力があることを改めて見せられたと思う。168ポンドの誰が真のチャンピオンかを。とにかくみんなが見たい戦いが決まってほしい」と訴えた。

WBC世界ミドル級王者ジャモール・チャーロ(アメリカ、33勝22KO)が2年5カ月ぶりの実戦リングに上がり、元WBA暫定スーパーライト級王者ホセ・ベナビデスJr.(アメリカ、28勝19KO3敗1分)とのノンタイトル10回戦で大差判定(100-90,99-91,98-92)勝ちした。「戻ってきたよ」。深く帽子をかぶった勝者の声は、少し震えているようにも感じられた。快進撃する弟ジャーメルの陰で精神不安に陥った日々を、想像する。
しかし周囲は緊張の連続だっただろう。試合決定からべナビデス兄と大舌戦。計量では契約体重163ポンドを大幅超過する166.4ポンド(再計量は166.6)。チャーロが剥奪されないWBCミドル級王座の問題に、大失態が重なったのだから。
体格差歴然の試合自体は、チャーロの圧勝で間違いない。手数で迫るベナビデスを迎え撃つチャーロのカウンターは回を追うごとに調子づいた。後半には4発、5発のまとめ打ちで相手をふらつかせ、最終回には詰めに行く意志を見せた。
「全部のラウンドで自分が上回ったと思う。次はもっと強い自分を見せられる。ここまで自分から離れず支えてくれたみんなに感謝したい」。
あえてベナビデスの前座に据えられたチャーロの復帰戦は、168ポンド階級参戦の第一歩という意味があった。WBCミドル級王座にも遠からず動きがあるはずだ。

IBF世界スーパーライト級王者スブリエル・マティアス(プエルトリコ、20勝20KO1敗)は、いやはや強かった。サウスポーの指名挑戦者ショージャホン・エルガシェフ(ウズベキスタン、23勝20KO1敗)が開始から矢のように打って出た左ストレートを、「これじゃ俺を倒せない」と見切ってしまったという。そしてすでに何人もの対戦者を餌食にしたアリ地獄のような連打に巻き取っていった。右アッパー、左ボディ、マティアスの拳が強気だったエルガシェフの闘志を削り取った。ロープに詰まって左フックを浴びせられた5回を終えると、挑戦者はコーナーからもう出てこなかった。レフェリーが試合終了を宣言したタイムは、6回2秒。

「サウスポーなら、解読するのに3、4ラウンドで十分。今日みたいな結果になる」と満足気なマティアスは、5戦連続で相手を降参させ、これでIBF王座初防衛。現WBO王者テオフィモ・ロペス、ジャーボンテ・デービス、デビン・ヘイニーらの名を挙げて、「これが欲しかったら戦いに来いよ」と赤いベルトを掲げた。
待ちに待った世界初挑戦で初黒星を喫したエルガシェフは「4回、5回はもう動けなかった。守ろうにも脚にきてしまって、プランを遂行できなかった」という。

WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチでは王座が交代した。ともに手数が少ない技術戦で、1位の挑戦者レイモント・ローチ(アメリカ、24勝9KO1敗1敗1分)が王者ヘクター・ルイス・ガルシア(ドミニカ共和国、16勝10KO2敗3無効試合)を僅差2-1(114対113、116対111、113対114)で破ったもの。
防御勘の良すぎるサウスポー王者ガルシアが守りを決め込み、ローチは圧力をかけるもののなかなか手が出せない。そんな時間がずっと続いた後、7回からガルシアが連打と左ストレートに力を入れ出した。そして、ジャメル・ヘリング(アメリカ)のWBO王座に挑戦して以来4年ぶり2度目の世界挑戦となるローチは、10回、尻に火がついたように攻撃をまとめ始める。11回にガルシアをコーナーに詰めて攻め立て、そして最終回、左フックをひっかけてダウンを奪う。ガルシア側が「後頭部を打たれた」と訴えるこのダウンが結局、勝敗を決めることになった。
「前回の挑戦の時は子供だったが、今は違う。誰も俺に勝てないよ」と28歳の新チャンピオン。ダウンを奪った左フックも「長い間、練習してきたもの」だと言った。
ガルシアは昨年8月にロヘル・グティエレス(ベネズエラ)から奪ったWBA王座の初防衛に失敗。今年1月に王座を持ったまま、WBAライト級王者ジャーボンテ・デービスに挑んで敗れており、これで2連敗に。

PPV開始前のYouTube放送では、元IBF世界スーパーライト級王者セルゲイ・リピネツ(カザフスタン、17勝13KO3敗1分)が昨年8月以来のリングに上がったが、アウトボクシングするミチェル・リベラ(ドミニカ共和国、25勝14KO1敗)をとらえられずに、10回判定負けを喫した。採点は二人が93対97、一人が94対96の0-3。リベラも初黒星からの再起戦で、昨年末にフランク・マーティン(アメリカ)との無敗対決に敗れ、WBAライト級次期挑戦権を取り逃がしていた。その際の禁止薬物違反によるサスペンドは、今年6月に解除されていた。

フロイド・メイウェザーの秘蔵っ子と評判の17歳フェザー級、カーメル・モートン(アメリカ、2勝2KO)は、9月のプロデビュー戦に続き2戦目を行った。サウスポーのハンター・ターバイフィル(アメリカ、3勝1KO1敗)を鋭い右で2度倒し、2連続初回KO勝ちを収めた。フェイントを織り交ぜ、目にも留まらぬパンチで刺す“右構えのジャーボンテ・デービス”。末恐ろしい。

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