内藤律樹、オーストラリアで復帰戦

オーストラリア、クイーンズランド州ピッツワース。12月2日、人口3000人の小さな町のホールで開催されたボクシング興行に、元日本・東洋太平洋王者の内藤律樹(E&Jカシアス=32)の姿があった。2021年12月に王座を失って以来のリング。その再起戦をプロカメラマンであり、トレーナーの関根虎洸氏がレポートする。

写真&文 関根虎洸 Photo&Text_ Kokou Sekine

 

待ち合わせ場所のバスターミナルに旧車で現れたリッキーと合流した。数時間後には試合会場のピッツワース・ホールへ向かう

 

  

髪を短くセットしたリッキーは、シャツに革靴を履いて会場入りした

試合会場のあるピッツワースは人口約3000人の小さな町。ホールの収容人数は700人。アマチュア15試合のあとにプロの試合が3つ組まれていたが、リッキーは自ら志願して第1試合の5回戦に出場した

リッキーのトレーナーは巨漢のコーベン、23歳。選手経験はないが、16歳からボクシングトレーナーを始めた。若いが研究熱心で、リッキーから高い信頼を得ている

控え室でリッキーは袴姿に着替えた。現地スタッフのアイデアで“ラスト・サムライ”の愛称を命名されたのだ

試合は序盤からリッキーがコントロールした。相手のルイ・マカイバ(パプアニューギニア)は1、3ラウンドにダウン。マカイバは最後まで諦めなかったが、4ラウンドにリッキーがパンチをまとめると、レフェリーが試合をストップした

リッキーが勝者のコールを受けると、超満員の会場に大きな歓声が沸いた

試合後の控え室で、カシアスジムの皆に向けてメッセージを、そう言ってリッキーにスマホのカメラを向けた。「久しぶりで緊張したけど、やってやったぜ!こっからだぜ‼」

TGW Smith’s Gymの設立は1989年。トレーナーも務めるオーナーのブレンドン・スミス氏(53歳)の手によって、マイケル・カツディスほか計4人の世界チャンピオンを輩出している

 

ジムの入り口近くにリッキーの部屋がある。広さは6畳程度。ボクシングに専念するには悪くない環境だ

ジムのロビーにはアップライトピアノがあり、ジムで育った選手たちの記事や写真が壁一面に貼ってある

リングは2面あり、地元の子供から中高年までがボクシングを楽しんでいる。アットホームな雰囲気の中でトッププロも練習しているのがジムの特徴といえるだろう

リッキーのお気に入りランニング・コース。毎週土曜日の朝は気分転換も兼ねて、トゥーンバの町を一望できるピクニックポイントまで往復15㎞のコースを走る

TGW Smithy’s Gymに住み込みで練習を始めてから計10ヵ月。これまでに試合は2度流れ、ようやく漕ぎつけた再起戦だった

一昨年、東洋太平洋スーパーライト級王座を失ったリッキーは、復帰戦を模索していた。そんなタイミングでオーストラリアからスパーリングパートナーの話が舞い込んできた。心機一転するには都合がいい。スパーリングパートナーとしていいパフォーマンスを見せれば、海外で試合のチャンスがあるかもしれない。そんな思惑もあった。先日、正式にTGW&Smithy’s Promotionsと3年間のマネージメント契約を結んだ。今後はオーストラリアを拠点に活動することになりそうだ

#内藤律樹 #関根虎洸

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