[Thursday Night Notes 12.14]

砂漠のオアシスで、ホープに出会う

Photos courtesy of Cris Esqueda / Golden Boy

  カリフォルニア州インディオ、三浦隆司や亀海喜寛ら日本のサムライたちも戦ったファンタジー・スプリングス・カジノ。ゴールデンボーイプロモーションの月例興行はコロナ禍を経て半分の頻度になったが、以前より地元選手にフィーチャーしていて、貴重なライブボクシングに砂漠の街の人々がわんさと詰めかける。

地元興行で初メインを務めたサンチェス

 この日メインを務めたホセ・“ティト”・サンチェス(アメリカ、12-0, 7KOs)は近隣のカテドラルシティ出身で、会場からほど近いジョエル&アントニオ・ディアス兄弟のジムが練習拠点。明後日アリゾナ州グレンデールで戦うジムメイト、元WBA・IBFスーパーバンタム級王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と実戦練習を積んできた。

 大声援を浴びて登場したサンチェスは地元での初メインとあって気合満々。ウォルター・サンティバネス(アメリカ、12-3, 2KOs)とのフェザー級10回戦は終始打撃戦となる。ともに左右スイッチするスタイル。ノンストップの上下コンビネーション、右のフック、アッパーのダブルなど、見栄えする攻撃でサンチェスは会場を盛り上げた。しかし、前戦で同じディアス一門のマヌエル・フローレスに初黒星を与えたサンティバネスはすこぶるタフで、ダウンを拒み、鋭いリターンを狙い続けた。99-91が二人、98対92の3-0で無敗を守ったサンチェスだが、被弾によって左目はほとんど塞がっていた。

「3回に右手中指を痛めてしまったんだ。苦しい時はファンの声援が背中を押してくれて、フルラウンド、パンチを出し続けることができた」と感謝の言葉を語った。出したパンチの数、1000発超だったという。

サンティバネス(左)はすこぶるタフだった
ジョエル・ディアス・トレーナー(右から二人目)に師事

 テンポよく進むアンダーカードもよかった。

 ゴールデンボーイと契約3戦目となるミドル級プロスペクト、エリック・プリエスト(アメリカ、12-0, 8KOs)はポール・メンデス(アメリカ、21-5-2, 11KOs)を初回2分9秒でストップ。自身6度目の初回KOをもぎ取った。まずは頭への右フック一撃で、メンデスの身体が泳ぐようにフロアへダイブ。再開後、右フックからの連打でレフェリーストップを呼び込んだものだ。

 ラスベガスでイスマエル・サラスの薫陶を受ける。「とくに距離の作り方が勉強になっているけれど、すべての面で今までと違うレベルのことを教わっている」。エリスランディ・ララやホルヘ・リナレス、門下の世界王者たちのアドバイスを胸に刻み、スパーの相手にも事欠かない。「ミドル級のトップ選手たちに、僕のことを知ってほしいと思う」。韓国人の母とアメリカ人の父を持つ25歳は、落ち着いた言葉に品が感じられて、好感度もかなり高しだ。

プリエストの右フックは何度も相手の頭部に刺さった
華も感じられる無敗ミドル級ホープだ

 フェザー級6回戦に出場したホルヘ・チャベス(アメリカ、9-0, 7KOs)も、要チェック。足元のバランスが崩れず、強弱の効いたコンビネーションがどんどんつながる選手で、ヘルソン・オルティス(ニカラグア、17-10, 9KOs)から初回にダウンを奪い、2回終了後、ギブアップさせた。

 これまでもゴールデンボーイ興行に登場してきたが、実は今回が正式契約初戦だったという。「サインをしてもらい、よりいい試合をみせたいと思ったんだ」と素直な気持ちを語る。アマチュアでの実績は「ない」。MMAのジムでスタートしたのは、ボクシングのプログラムに参加するお金がなかったからだという。「二人の子どもを一人で育てている母に、お金が必要だなんて言えなかった」。

 ボクシングを始めてからは、遠征費用のかかるアマチュア大会に出ないかわりに、「ボクサーのビデオを見て、練習して、ジムでプロとスパーする時に試す。そうやって実戦力をつけたんだ」。誰の映像をよく見るか尋ねると、真っ先に挙げたのが“イノウエ”だ。「彼のステップワークのドリルを見て、練習している。彼のボクシングを見れば、ベースが大事だということがよくわかるんだ」。ここにもまた一人。井上尚弥がその身をもって示すエッセンスを受け取る若きボクサーがいた。

緩急のあるコンビネーションでオルティスを追い込んでいくチャベス
イノウエのビデオを何度も見ているという23歳に注目

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