“アンダードッグ”執念の金星
2月15日 木曜日 カリフォルニア州コマース コマース・カジノ&ホテル
Photos courtesy of Golden Boy / Cris Esqueda Text_Yuriko Miyata
ウィークデーにもかかわらず南カリフォルニアのそう遠くない3カ所で小興行が行なわれた2月15日。ゴールデンボーイプロモーション興行を選んだ一番の目当ては、フライ級世界上位ランカー、リカルド・サンドバル(アメリカ)と世界挑戦経験者ジェイソン・ママ(フィリピン)の10回戦だったが、計量も終えた後にメディカルの結果でママが出場不可に。このセミが消滅して、5試合のイベントになった。
○…メインはスーパーライト級10回戦。元IBF世界スーパーフェザー級・WBC暫定ライト級チャンピオンのジョセフ・“ジョジョ”・ディアス(アメリカ、33勝15KO5敗1分)が、2連敗中の中堅、ヘスス・ぺレス(メキシコ、25勝18KO5敗)に判定負けという波乱の結果となる。脚を止め、折り紙付きの防御テクニックで、ペレスの果敢なアタックをいなしていたサウスポーの元王者。5回にクリンチ際からペレスを投げ飛ばして減点1を科された後、雲行きは悪くなった。“アンダードッグ”ペレスの執念が勝負を動かした、というべきだ。「ジョジョが本命だから接戦だと勝ちを持っていかれてしまうと思った」というペレスは、粘り強く手を出し続けた。ウェルター級から下げてきた体の強さも生かし、エンドレスで連打をつないで、僅差2-1(96対94、99対90、判定勝利を手繰り寄せた。2018年5月に無敗で乗り込んだアメリカで初黒星を喫して以来、国外遠征で初めての勝利を、元世界王者からもぎ取った26歳は、「すべてのボクサーと同じさ。私は逆境を耐えて突き進んできた。そして今日、勝利へ到達することができた。夢が叶って本当に嬉しい」と喜びを噛み締めた。この勝利が転機となるか。次戦が楽しみになる。ロンドン五輪代表からゴールデンボーイ傘下に迎えられ王道を歩いてきたディアスは、年齢はまだ31歳。だが、不摂生は知られるところ。体の緩みを見ても省エネの戦いぶりを見ても、それは本当だろうと思える。「勝ったのは俺。こんなのフェアじゃない」と判定への不満をあらわにしたが、今日を省みることができなければ、もうボクサーとしての明日はなさそうだ…。

○…セミに急きょ格上げされた22歳のスーパーウェルター級、エリック・チューダー(アメリカ、10勝6KO1敗)はゴールデンボーイとの契約をつかんだルーマニア系のホープ。今日の第1試合でプロデビューしたサーシャ・チューダーは、18歳の実弟である。兄は、4ヵ月前に経験豊富なホセ・ルイス・サンチェス(メキシコ)の頑強さに跳ね返され、初黒星を喫して以来の再起戦とあって、今回、前半はかなり慎重に過ごした。体格差を生かし、徐々にワンツーにウェイトを乗せてルイス・ラモス(プエルトリコ、7勝7KO3敗1分)を叩き、三者とも80対72の判定勝ちを収めている。弟サーシャは、乱戦モードのサウスポー、ジョサイアス・ゴンザレス(アメリカ、2勝2敗1分)に冷静に対応し、右ストレートでポイントをおさえているように見えたが、採点は1-1(39対37、38対38、37対39)の引き分け発進となった。風貌も、スタイルもそっくりな若き兄弟。次なる競演を待ちたい。


〇…第3試合、フェザー級6回戦は、“モンスター”ナオヤ・イノウエに心酔するホルヘ・チャベス(アメリカ、10勝7KO)のプロ10戦目。昨年5戦4KOの好調をキープしたい24歳のラティノだが、初回、ゆったりスタートしたところを大ベテラン、デュール・オルグイン(メキシコ、16勝10KO35敗7分)にジャブで突かれてフロアを這わされた。昨年8戦、目にする機会は誰より多い選手、おまけに本業?は会計士というオルグイン。全34敗中KO負けは3つだけという巧さ・粘りの持ち主で、チャベスもそんなタフガイを深追いせず6回判定勝ち(58対55×2、60対54)。

○…第2試合、ライト級4回戦ではジョシュア・ガルシア(アメリカ、7勝4KO)がエリック・アルグエタ・ロサダ(メキシコ、1勝1敗1分)を初回1分45秒でノックアウトした。ガルシアは拳骨折で1年5ヵ月ぶりの実戦で、元2団体世界王者ダニー・ローマン(アメリカ)を育てたトレーナー、エディ・ゴンサレスと臨む初陣。本来フェザー級で小柄なロサダが懐へ入るところに右ショートストレートを見事に命中させて、試合を終わらせた。ロサダは昨春、中谷潤人(M.T)のスパーリングパートナーを務めた選手で、チャンピオン本人もルディ・エルナンデス・トレーナーも、当時19歳のメキシコ人の実戦力をかっていた。巻き返しに期待。
