[Saturday Night Notes  2.15] デュアルテが代役に快勝。新暫定王者バルボサにラブコール。

 2月15日の土曜日、アメリカ・カリフォルニア州アナハイムのホンダセンターで行われたゴールデンボーイ・プロモーション(GBP)興行で、WBAスーパーライト級9位のオスカル・デュアルテ(メキシコ→アメリカ)がミゲール・マデュエノ(メキシコ)を7回2分9秒でストップ。空位のWBA米大陸タイトルを獲得した。当初対戦予定だった元WBA、WBC同級チャンピオンのレジス・プログレイス(アメリカ)が肩のケガで撤退。これまでKO負けがないタフガイ、マデュエノが試合10日前に一階級上の代役を引き受けた形で、デュアルテにとって世界レベルの“テスト”という意味合いは薄れたものの、好戦派同士の熱い打ち合いで会場を沸かせた上に、強打連発の鮮やかな詰めでしっかりアピールしてみせた。同日、同じGBP傘下のスーパーライト級、アーノルド・バルボサJr.(アメリカ)が遠く敵地イギリス・マンチェスターでジャック・カテラルを僅差2-1の判定で破り、暫定ながらWBOのベルトを獲得。140ポンド階級はじわじわと動いている。

Photos courtesy of Golden Boy / Cris Esqueda, Text by Yuriko Miyata

 実直スラッガー、オスカル・デュアルテが代役ミゲール・マデュエノとの12回戦に7回2分9秒KO勝ち。世界ランカーの格を示すパフォーマンスをみせた。

 世界的にみればデュアルテはライアン・ガルシア(アメリカ)の140ポンド初戦の対戦相手で、KO負けした選手、という印象が残るに違いない。が、昨年4月に元IBFスーパーフェザー級王者ジョセフ・ディアス(アメリカ)を9回でストップしてカムバックすると、11月にはサウジアラビア・リヤドで、元オリンピアンの世界挑戦経験者ボティルジョン・アフメドフ(ウズベキスタン)にも判定勝ち。ホセ・“ペペ”・ゴメスのカンクン・ボクシングとGBPの両プロモーターが課すテストを着々と乗り越えて、今回の再起3戦目はプログレイスに挑むはずだった。結局直前で元世界王者の怪我で幻となり、ベテランの難敵プログレイスにどう斬り込むかが試されなかったのは残念であるものの、メキシカンファイター、マデュエノとの明快な打撃戦は、観客的にはかえって楽しめたかもしれない。10日前の代役オファーを受けたマデュエノは本来ライト級ながら大柄な体躯の持ち主で、昨年7月の前戦ではキーショーン・デービス(アメリカ)と10ラウンド、フルに戦っている。無敗強打者としてトンプソン社に見出され2021年にアメリカデビューしたが、ライト級トップ戦線参入目前で壁にぶつかり、足踏み中のところへ舞い込んだ今回のオファーを快諾。オスカー・デラ・ホーヤが「直前変更でこれ以上望むべくもない好カード。ノンストップの激闘になる」とファイトウィークに語った通りに急造カードは盛り上がった。

10日前のオファーを受けたマデュエノ(右)は序盤から精力的に攻める

 身長で上回るマデュエノがロングのワンツーで先制し、2回までは長短いずれも手数で圧した。そんな相手をデュアルテはボディ攻撃で崩しにかかる。マデュエノのコンビネーションの隙にデュアルテがボディブローから素早く右フックをつなぐと、重量感のある上下攻撃がどんどん調子づいた。懸命に踏みとどまるマデュエノが4回にはたまらず下がり出し、鼻梁をカットして出血にも見舞われた。デュアルテは容赦なく仕上げにとりかかる。5回、すでに効いているはずのマデュエノの腹にパンチを集め、インファイトでマデュエノがアッパーを打つ隙にも腹を打ち、左右ストレートでアゴを跳ね上げて、左眉も切り裂いた。血まみれで食い下がるマデュエノを7回、右痛打から攻め上げて、レフェリーストップを呼び込んだ。

技術も上回るデュアルテ(右)は粘るマデュエノをストップまで攻め上げた

「この戦いをサポートしてくれたファンの皆さんに感謝します。マデュエノは素晴らしいファイターであり紳士でしたが、私は誰が目の前に現れてもいいように準備ができていました。そして今日、世界タイトルを手にしたバルボサの勝利を祝福したいと思います。私にそのベルトに挑戦するチャンスを与えてくれることを希望します」と語ったデュアルテは、32戦29勝(23KO)2敗1分。リング誌の2024年最高トレーナー賞ロベルト・ガルシアの門下に入って約1年、アメリカ市民権も取得している。キャリア初のKO負けを喫したマデュエノは35戦31勝(28KO)4敗。

〇…GBP興行登場2戦目のWBAスーパーライト級3位のケネス・シムスJr.(アメリカ)は、勤勉ファイターのケンド・カスタネダ(アメリカ)とフルラウンドを戦うことに。下がることを知らないカスタネダの奮戦に遭い、後半戦は打ち合いに巻き込まれながら、的確なヒットで要所をおさえて、98対92、99対91、99対91の大差判定勝ちを収めた。シムスは25戦22勝(8KO)2敗1分。カスタネダは30戦21勝(9KO)8敗1無効試合。

〇…この日登場したGBPプロ傘下の有望若手の中でも、一番の注目株はジョエル・イリアルテ(アメリカ)。身長185㎝のウェルター級は、ダレル・ハリス(アメリカ)を2回KOで退け、全KO勝の戦績を6に伸ばした。ハリスは普段ライト級の選手。小柄すぎる相手だったが、21歳のホープは攻防に手抜きなく勤勉にKOを紡ぎ出す。下がる相手に対して正確にワンツーを打ち下ろし、初回のうちに左フックを叩きこんでダウンを奪った。そのラウンドをしのぎ切り、2回開始のゴングに応じたハリスだが、イリアルテの鋭角な左ショートアッパーを突き上げられたところで、背を向けた。スパーリングを重ねたアーノルド・バルボサJr.の勝利を見届けて、リングへ向かったというイリアルテ。「小さい相手だったけれど、最初のジャブに手ごたえを感じた時に、長くはかからないと思った。目の前の相手に勝っていくのが仕事。いつどんな相手が来てもいいようい準備していく。今はウェルター級が最適だと感じているけれど、タイトルを懸けて戦う頃には上の階級かもしれない」と語った。ゴールデンボーイプロが手塩にかける大型新人は、フレンドリーで折り目正しい好青年でもある。ハリスは45戦19勝(14KO)24敗2分。

〇…第3試合ミドル級6回戦で、ファビアン・グスマン(アメリカ)がダニエル・リム(フィリピン)を初回2分59秒で詰め切った。前の左手を多彩な角度で使い分けるグスマンは、リムが狙う右カウンターに対しても左をかぶせて圧倒。左フックでダウンを奪うと、続行を望んだリムを攻め立てて右フックでダウンを追加すると、レフェリーが試合終了を宣言した。今回が初6回戦だった21歳のグスマンは、これで7戦7勝7KO。リムは15戦11勝(3KO)4敗。

〇…第一試合スーパーバンタム級4回戦に出場したケビン・グディノ(アメリカ)は、この日イギリスでWBO暫定スーパーライト級チャンピオンになったバルボサがプロモートする19歳のサウスポー。バルボサと同じ、ロサンゼルスの東方ラ・プエンテという街がホームタウンだ。グディノは昨秋、中谷潤人(M.T)、アンソニー・オラスクアガ(アメリカ)らのスパーリングパートナーを務め、中谷がペッチ・CPフレッシュマート(タイ)を、オラスクアガがジョナタン・ゴンサレス(プエルトリコ)を破っていずれも防衛に成功した10月14日の10日後に、プロデビュー。ブライアン・アンドリュー・コックス(アメリカ)を初回でストップしたものだが、今回のプロ第2戦も順風だった。ラファエル・カスティーリョ(アメリカ)をじっくり見てから2ラウンドに入って左を上下に散らして下がらせる。最後は左フックから畳みかけてフロアに落とし、3回35秒で試合を終わらせた。戦績はこれで2戦2勝2KO。世界上位で長い時間待ち続けついにベルトを巻いたバルボサの、プロモーターとしての手腕にも注目である。カスティーリョは7戦2勝(1KO)5敗。



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