
前日のゴールデンボーイ興行に続き、17日土曜日も南カリフォルニアの内陸部にボクシングファンが集結。リバーサイド郡サンハシント、ソボバ族保護区ソボバ・カジノで開催された今興行には、同郡に構えるロベルト・ガルシア・ボクシング・アカデミーで腕を磨く選手を中心に、トップランク社と契約する若手も出場し、カジノ内のイベントセンターは超満員の賑わいとなった。先住民族の血を引く地元の新興プロモーター、ハウス・オブ・ペインのデーブ・トゥルヒーヨ氏は2024年秋の始動から2年目も精力的だ。
Photo and Text:Yuriko Miyata
全米50州で最大の興行数を誇ったカリフォルニア州も昨今大興行が激減し、かつては同州の新聖地となりつつあったカーソンのディグニティヘルス・スポーツパーク(旧ホームディポセンター)は2025年、ついぞ1度もリングが設置されることなく終わった。それでも昨年他州をはるかに凌ぐ77興行を数えたのは、地元ボクサーたちに戦う舞台を提供しようという中小プロモーターの努力の賜物にほかならない。ハウス・オブ・ペインのデーブ・トゥルヒーヨ氏もその一人で、ソボバ・カジノの名もボクシング・スケジュールに頻繁に登場するようになった。

〇…この日のメインを務めるのは、ロベルト・ガルシア門下のフェザー級、アルバート・ゴンザレス(アメリカ)。アマで全米レベルで活躍し、2021年のプロデビューからメジャー興行の前座に抜擢されて、昨年からこういった小興行で主役を任されている23歳だ。今回の相手は、アメリカ在住のベネズエラ人、フランクリン・ゴンサレス。もともとスーパーフライ、バンタムで戦いながら勝ちは全てKO、4年前にメキシコで初黒星を喫して以来4連敗中だが攻防は滑らかで、リターンのタイミングも絶妙だ。そんなベネズエラ人の前で、無敗ホープも慎重に戦いを進める。徐々に距離を詰め、3回にはショートカウンターの取り合いに勝って波をつかんだ。そして迎えた6回、右フックでダウンを奪い、さらに追い立てて左ボディでダウンを追加。続く7回にさらに2度、ベネズエラ人をフロアに這わせたところで、レフェリーストップがかかった。「タフでパンチもある相手だったけれど、体を振りながらボディを叩くスキを見つけてからうまくいった」と語ったゴンザレスは、これで16戦全勝(9KO)に。ゴンサレスは5連敗となり、30戦25勝(25KO)5敗。
〇…セミファイナルのスーパーライト級6回戦では、アンソニー・クーバ(アメリカ)がダビ・レイエス・コタ(メキシコ)に2回終了後、棄権を決意させた。LA合宿に訪れる日本人選手たちとのスパー経験も多々ある23歳クーバは、ロングジャブ、ワンツーが美しい技巧派パンチャー。だがこの日は、相手をサンドバッグ状態にしてみせた。3年前はスーパーバンタム級だった小柄なメキシコ人を高回転の連打で攻め立てると、相手は3回開始のゴングに応じる戦意を失っていた。「自分のパンチで仕留めたかったけれど、しかたない」というクーバは15戦12勝(5KO)1敗2分。2024年3月に話題の俊才カーメル・モートン(アメリカ)との無敗対決に8回判定で敗れたが、これで再起5連勝となった。コタは44戦25勝(13KO)16敗2分。

〇…空位のWBFインターナショナル・スーパーバンタム級王座決定戦として行われた同級8回戦には、中谷潤人の長年のチームメイト、エイドリアン・アルバラード(アメリカ)が登場。練習をともにし、友人だった日本・東洋太平洋ランカー、故・神足茂利さんのロゴをトランクスにつけて、サウスポーのジョセファト・ナバロ(フィリピン)と戦った。戦前から「サウスポーは戦い慣れている」と語ったアルバラードは、小柄なサウスポーを相手にパンチを先行させる立ち上がり。だがバッティングは頻発し、2回には左瞼が切れてしまった。ナバロの前進は激しくなり、4回には右瞼も切れて、アルバラードはさらに苦境に追い込まれる。血止めの名手でもあるルディ・エルナンデスをしても止め切れない、というよりバッティングに減点は科されず、ナバロが構わず頭ごと飛び込み続けるから、出血はひどくなるばかりなのだ。「カットは初めてのことじゃないし、戦い続けたかった」というアルバラードは終盤、右ストレートのヒットで挽回し、フルラウンドを戦い切った。採点は、一者が78対74でアルバラードを支持し、一者は77対75でナバロにつけた。残る一者が76対76とし、引き分けという結果になった。昨年5月に後楽園ホールで細川兼伸(ワタナベ)に判定負けして以来の再起戦だったアルバラードは、17戦12勝(6KO)3敗2分。カリフォルニアのプロモーターに見出され、同地で活動するナバロは10戦5勝(1KO)3敗2分。

〇…トップランク社と契約した長身のライト級、サミュエル・コントレラス(アメリカ)は、昨年4月のデビューからプロ5戦目を迎えた。22戦11勝(6KO)11敗の32歳ネルソン・ハンプトン(アメリカ)をロングジャブ、ワンツーで叩き、試合はワンサイド。倒しきれずも三者とも60対54をつけるフルマークの勝利だったが、「もっと脚に体重を乗せて、強く打てるようにらないと」と反省の弁を残した。日本人の記者をみて「こんど僕のシャツをあげるよ」と約束してくれた。カタカナで“サムエ”が彼のロゴなのだ。「なぜかと言うと、日本の文化が大好きなんだ。漫画も大好きだけど、とくに、サムライ映画が好きで。鍛錬とか礼儀とか、そういうのがかっこいい」という。8歳の時、太めだった体を鍛えるためにボクシングを始めたところ3、4ヵ月のうちにトーナメントで優勝し、夢中になったという。好きな選手は、オスカー・デラ・ホーヤ、ホルヘ・リナレス、リカルド・ロペス、サルバドール・サンチェス……「昔の選手(?)が好きで、しょっちゅう映像を見ているよ」と語る、爽やかすぎる21歳。日本に来たら、モテモテに違いない。
