[Saturday Night Notes 5.4]豊嶋が坂井を返り討ち。川満は安藤に打ち勝つ。

この日のMan of the Dayはこの二人。LF級の激闘王・川満と安藤

  ボクシングウィーク佳境。ちょうど東京でU-NEXT興行がスタートしようとするころ、大阪ではIBF世界バンタム級タイトルマッチで、サウスポーの1位挑戦者・西田凌佑(六島)が王者・エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を相手にすばらしいスタートを切っており、後楽園ホールを訪れるファン、関係者もあちこちでスマホでライブ配信をのぞき込んでいた、忙しい5月4日。後楽園ホールの日本2大タイトルマッチも大いに沸いた。

<チャンピオンカーニバル 日本ウェルター級タイトルマッチ>

豊嶋は坂井との再戦で返り討ちに。後半のボディ攻撃がカギになった
リベンジへ向かい坂井は懸命にコンビネーションをつないだが…

 実力伯仲の大接戦。日本1位の挑戦者・豊嶋亮太(帝拳)がチャンピオン・坂井祥紀(横浜光)に判定2-1(96対94×2、94対96)で勝利し、タイトルを奪取した。「今回はチャレンジャーですから心境は違いますし、2回目ということで不安なところもあって。前回勝っているから次どうかというところもあって不安もありました」と安堵する勝者がいうとおり、ふたりは2021年12月以来の再戦。豊嶋のWBOアジアパシフィック&OPBF王座を懸けた前回の対戦(12回戦)では、豊嶋が中差判定で防衛に成功している。しかしこの再会までの2年半、豊嶋は冠を失って再び立ち上がり、坂井は日本王座に就いて2度の防衛を重ねてきた。立場をかえての再戦も、スタートから高密度の攻防が展開する。リベンジを期す坂井には先手をとる意志がみえる。先に手を出し距離を詰め、さまざまなショートパンチで打ち終わりをとる。丹念な上下攻撃だ。一方、3回に鼻から出血した豊嶋だが、相手の攻めの隙に差し込む左フック、右オーバーハンドは見栄えがいい。5ラウンド終了後の公開採点は、48対47、48対47、47対48の2⁻1で坂井がリードも、追う側の力になりそうなスコアである。そして6回から、豊嶋のボディパンチがはっきりと増えるのだ。8回には強打で上下を打ち分けて優位を印象づける。バックステップを踏む場面が多くなったものの坂井も懸命にコンビネーションを出し続け、試合は最後まで一進一退だったが、豊嶋が僅差判定をつかんだ。豊嶋はこれで23戦19勝(11KO)3敗1分。坂井は46戦29勝(15KO)14敗3分となった。

コンビを組むカルロス・リナレス・トレーナーと新チャンピオン

「前半は気持ち負けしてたかもしれません。攻めないと勝てないよと言われて、対応することができました。ボディが効いて、相手の行動が減ってきたのがわかりました」という豊嶋は、初めて手にした日本チャンピオンのベルトを眺めた。これで地域3冠を達成。「日本タイトルは王道ですよね。この王道を獲ってこなかったので、獲れたことは大きいです。うれしいです。今日はひさしぶりにほかの2本のベルトを出してきて、並べてみようかな」。

 ちょうど1年保持したそのベルトを失った坂井は、「前回(の対戦)よりも前半は獲っていたかなと思ったのですが。それで打ち合うかボクシングをするか迷いが出てしまいました。豊嶋選手はやはり崩れにくさはあります。いまはとりあえず悔しいので、…すぐにでもボクシングをしたい気持ちです」。2010年にメキシコでプロになり、2019年11月のゴール・イェリツィアン戦を最後に、日本に拠点を移した逞しき逆輸入ボクサーは、また立ち上がる。

<チャンピオンカーニバル 日本ライトフライ級タイトルマッチ>

川満の猛攻はスタートから止まらない
挑戦者安藤はどこまでも反撃のチャンスを狙った

 まるで劇画のような打撃戦のすえに、チャンピオンの川満俊輝(三迫)が1位の挑戦者・安藤教祐(KG大和)を6回2分29秒TKOで退けた。立ち上がりは川満が早々に押し切りそうなムードだったのだ。3年前の8回戦で対戦し、安藤を初回48秒でストップした川満は、今回も琉球ファイターを地で行くようなクラウチングスタイルで、上体を振って前に出て、右のオーバーハンド、ワンツーからボディで押していく。ジャブで距離をつくりたい安藤にその猶予を与えぬ勢いだ。しかし安藤は狙っていた。川満の右に左フックを合わせようと狙っている。そして3回、安藤が反撃に出ると、いずれ引かぬ壮絶な打ち合いに突入した。安藤が右を痛打すると、川満も右をカウンター。押し返された安藤は再び右クロスから押し返す。4回、安藤の右アッパーで顎を派手に跳ね上げられた川満は、まるで何事もなかったように左フックからパンチを重ねていく。どちらも絶対に引かない。どちらも勝利だけを信じている。いったいどこまで続くのかと思われた死闘は、6回、川満が渾身の左フックから畳みかけたところで、ついにレフェリーによって止められた。

 凄まじい闘志で見る者の心を震わせた二人。川満は11戦10勝(6KO)1敗。安藤は18戦13勝(6KO)5敗。世界王座に到達した比嘉大吾(志成)とは沖縄・宮古工業高校時代の同級生である川満は、昨年末に敵地神戸で大内淳雅(姫路木下)を2回TKOで撃破しつかんだ日本タイトルの初防衛に成功した。ジムメイトたちによると、「相手と向き合うと豹変するが普段は誰よりも優しい好青年」だという。勝者インタビューに答える超激闘派は、すっかりその優しい顔だった。

「反省ばかりです。初防衛戦ということは気にしてはいなかったんですけれど、安藤選手がリベンジということで、自分は追われる立場ですし、相当な気持ちを擁して臨まなければ勝てないと思っていたので、勝ててホッとしています。まわりの方々、遠い宮古島から来てくださった方々、みなさんが優しくて、みんながパワーをくれました。試合はなんともいえない内容だったので、会長とトレーナーから厳しい指導が待っていると思うんですが、これを乗り越えて上のレベルにいけるようにがんばります」

横井龍一トレーナーと、初防衛に成功した川満

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