[Saturday Night Notes 7.6] 4団体1位セペダがカブレラを3回で沈め準備万端

アメリカ参戦節目の10戦目も快勝。世界4団体の1位にランクされるセペダ

 7月6日、カリフォルニア州オンタリオのトヨタアリーナで行われたゴールデンボーイ・プロモーション興行。メインイベントのライト級12回戦で、WBC、WBA、IBF、WBOの主要4団体すべてで1位にランクされるウィリアム・セペダ(メキシコ)がWBC9位のジョバニ・カブレラ(アメリカ)を3回1分58秒KOに下した。世界初舞台のチャンスを待ち続けるトップコンテンダーは、「私はどのチャンピオンとでも戦う。私は私の仕事をしたから、誰といつ、どこで、と決めるのは、オスカーの宿題ですね」と。リング上でそう勝者から振られたプロモーターのオスカー・デラ・ホーヤは、現在最も交渉成立の可能性が高いものとして「WBO」、つまりウクライナのデニス・ベリンチュクを挙げた上、同日東海岸でWBC王座を防衛したシャクール・スティーブンソン(アメリカ)とのマッチメイクにも言及した。タレント揃いの135ポンド階級。GBPの切り札であるサウスポーファイターに期待をかける

Photos courtesy of Golden Boy Promotions/ Cris Esqueda Text:Yuriko Miyata

○…現WBC世界ライト級王者シャクール・スティーブンソンが地元であるニュージャージー州ニューアークで坦々とタイトルを防衛した同じ夜、同級1位のウィリアム・セペダは反対の西海岸で快勝した。

 2020年秋にアメリカ進出し、2戦目で見せたヘクター・タナハラ(アメリカ)との無敗新鋭対決での圧勝から、GBPの課すテストを次々とクリアし、オスカー・デラ・ホーヤに「一ラウンドで誰かの一試合分の手数を出す」と言わしめる攻撃型サウスポーのセペダ。今回の相手ジョバニ・カブレラ(アメリカ)との、真逆スタイル同士のサウスポー対決も、興味深いマッチメイクだった。2022年夏にトップランク社のホープ、ガブリエル・フローレスJr.(アメリカ)を下して頭角を現した超変則ボクサーのカブレラは、フレディ・ローチに師事。昨夏には無敗のまま“ピットブル”イサック・クルス(メキシコ)と対戦。今では一階級上のWBA王者となった猛者相手に12回僅差判定まで持ち込んだ曲者だ。今回は2ポンド超過を犯したが、変則スタイルは全開。不格好でもスタートから大いに動き回った。

初回こそカブレラのペースに巻き込まれかけたが、2回からは問題なし

 初回はそんなカブレラが先にペースをとった。近い距離でステップを踏み、アップライトの構えから軽いパンチを早打ちしたり、体を密着させて空間を潰したり。前進したいセペダを惑わせて、初回の最後には左アッパーをクリーンヒットした。しかし、2回に入るとセペダが戦闘開始。「十分な準備ができていたので、自信をもって前に出ることができた。私のことをただ手数の選手と思う人もいるかもしれないが、しっかり有効な作戦を立てて実行している」と試合後に語ったとおり、左右をしっかりつないでカブレラのリズムを凌駕し、相手を一気に疲れさせた。迎えた3回、上下波状攻撃の回転を上げて襲い掛かり、左ボディをヒット。フォローアップの中で再び左をレバーに突き刺してダウンを奪う。レフェリーのトーマス・テイラーは、ひざまずいたカブレラにテンカウントを数え上げた

「鍛錬がどんな時も助けになると信じている。今回も集中力を失うことはなかった。自分を他の選手と比べることはしないんだ。どちらが強いかがわかるのは、リングの上で対戦した時のみだ。これまですでに素晴らしい相手と戦い、自分がこの階級のトップのひとりであると感じている。世界チャンピオンになるチャンスを待っている」と語ったセペダは、31戦31勝(27KO)。「一ラウンド目は快調で、自分の方が強かったはず。カウントの数を勘違いしてしまった」と苦笑したカブレラは24戦22勝(7KO)2敗。

○…セミファイナルに組まれたWBCシルバー・フライ級タイトルマッチ10回戦では、WBCフライ級6位リカルド・サンドバル(アメリカ)が元WBO世界ライトフライ級チャンピオンのアンヘル・アコスタ(プエルトリコ)を最終10回1分23秒でストップ。フライ級での世界挑戦権がかかる一戦は、いずれ引かぬ一進一退の好ファイトだったが、ラウル・カイースJr・レフェリーが割って入ったタイミングが、後味を悪くした。

 立ち上がりから持ち前の積極的な攻撃をみせたのは、世界2階級制覇を目指すアコスタの方だった。狙っていた右クロスを初回終盤にクリーンヒットして、サンドバルを千鳥足にする。ピンチをしのいだサンドバルは、2回に右アッパーを痛打してラウンドを獲り返したが、3回にはアコスタの左フックで再び腰を大きく折った。だがサンドバルは崩れない。インファイトを仕掛けるアコスタのボディを打ち、5回からは“避けて叩く”がよく機能した。アコスタも粘り、ハイピッチで手を出し続け、最終回も前に出ると、会場は“ティト”“ティト”の大合唱。そこへ、サンドバルが右フックをクリーンヒット。バランスを崩した元世界王者に追撃し、左アッパーを突き上げる。アコスタはしっかり耐えたが、そこでレフェリーが割って入り、試合終了を宣言。アコスタ自身の戸惑いはもちろん、会場が大ブーイングに包まれた。

 9回までのスコアは87対84、88対83、89対82と意外な大差でサンドバルがリード。それも驚きだが何より唐突なストップばかりが印象に残ってしまった。ブーイングを浴びるリング上で「ストップは少し早いと思ったけれど、続いていても自分がストップ勝ちしていたと思う」とサンドバルは語った。一方、「最後のパンチはしっかりブロックしているんだよ? カイースをずっと知っているし尊敬もしてきたが、今日その尊敬は失われた」と激怒するアコスタのトレーナー、ジョエル・ディアスのもとへGBP社長エリック・ゴメスが駆け付け、再戦を組むことを約束したという。が、サンドバル側に落ち度はない。悲願の世界初挑戦へ前進したいはずである。2021年6月に敵地イギリスに飛んでジェイ・ハリスを破り、IBF次期挑戦権をつかんだもののチャンスは来ず。2年前には無敗のデビッド・ヒメネス(コスタリカ)とのWBA挑戦権争いに僅差で敗れた。今度こそ、と、物静かな痩身ボクサーは言う。WBCシルバー王者、となれば、フライ級へ上がってくる寺地拳四朗(BMB)の対戦者となる可能性が高い。「僕の見方が間違っていなければ、世界戦は日本遠征になるんだろうと思う。日本はボクシングでもお客さんが静かに試合を見るって本当? その状況、僕は好きだね。騒がしい方が苦手だから。日本で戦うのが楽しみだ」。透き通るように白い肌をした25歳は、これで27戦25勝(18KO)2敗。ファンの声援に包まれてリングを降りたアコスタは29戦24勝(22KO)5敗。

世界戦は日本で、と心得るサンドバル。物静かな男は、不動産取引の資格も取得中

○…DAZN放映2試合目のスーパーフェザー級10回戦で、マヌエル・“グッチ・マニー”・フローレス(アメリカ)がノエル・アランブレットJr.(ベネズエラ)を2回1分59秒でストップした。ジョエル・ディアス門下の左ボクサー型、フローレスは、一年前に喫したまさかの初黒星から2連続KOで再浮上。今回は元WBA世界ミニマム級王者の息子、アランブレットをスタートから鋭く攻めて、2回、左アッパーで2度のダウンを奪って試合を終わらせた。本来はバンタムからスーパーバンタム級が主戦場のフローレスが今回、スーパーフェザー級で戦ったのは、アランブレットの体重超過だけが理由。最初の試合契約はスーパーバンタム級で、事前にフェザー級に変更されたが、計量ではアランブレットはそれも超過してしまった。「自分はどんな戦いも真剣に準備をしているし、今回も同じ。バンタム級で一番になるつもりだ」というフローレスは19戦18勝(14KO)1敗。WBA世界ミニマム級王座をかけて日本で星野敬太郎と2度戦ったノエル・アランブレットを父に持つ29歳のノエルJr.は、ラスベガスに拠点を移し1年半ぶりの実戦に臨んだが、準備が間に合わなかったかもしれない。戦績は32戦23勝(13KO)7敗2分。

○…第2試合ライト級4回戦では、長身のダニエル・ルナ(アメリカ)がジョセフ・ウォーカー(アメリカ)に初回終了TKO勝利。体格を生かしプレスをかけ、右ダブル、左アッパーなどでウォーカーを圧倒すると、初回終了後にレフェリーが試合終了を判断した。メンタルの不調が心配なライアン・ガルシアと同郷、砂漠の入り口にある街ビクタービルの出身であるルナは、5戦4勝(4KO)1敗。今回は初黒星から9カ月ぶりの再起戦だった。ちなみにこのグリーンボーイにまさかの黒星を与えたメキシコのベテランファイター、エリック・ガルシア・ベニテスは近ごろ薬物違反で処分を受けたと、元ボクシング・マガジン通信員の信藤大輔さんから情報が入ったばかりだった。ウォーカーは3戦1勝2敗。

○…第1試合のフェザー級8回戦に、ジャフェスリー・ラミド(アメリカ)が登場。昨年10月末にTJドヘニー(アイルランド)に味わわされた初回KO負けから約8カ月ぶりの再起戦だ。「見えないパンチをもらってしまった。試合が始まったらどんな瞬間もしっかり集中していなければならないと改めて学んだ。久しぶりの試合で、一つひとつのラウンドをしっかり獲ることを意識して戦いたい」と計量後に語ったとおり、実戦経験豊富なライアン・アレン(アメリカ)を前に左右スイッチして攻め口を探りながら、ディフェンスの意識が強くみえる立ち上がり。2回に入るとアレンが攻め手を増やして、ラミドも中間距離で応戦し、被弾もあるが、5回に右フックをひっかけてアレンをフロアへ落とし、カウントを聞かせた。6回に左を連発、疲れがみえるアレンを詰め切れずも、明白な勝利を手にした。採点は77対74、78対73、80対71の3-0。スーパーバンタム級をわずかに超える体重で戦ったラミドは、これで13戦12勝(4KO)1敗。アレンは19戦10勝(5KO)8敗1分。

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