
7月31日、カリフォルニア州サンタモニカの桟橋でプロボクシング興行が行われた。8月3日にロサンゼルスのBMOスタジアムで行われるリヤド・シーズン海外進出第一弾、イスライル・マドリモフ(ウズベキスタン)対テレンス・クロフォード(アメリカ)を3日後に控え、公開練習とあわせて行われたこのプレイベントは、観戦無料。遊園地があることで知られるサンタモニカの巨大な桟橋に特設された青空リング、ジェットコースターの歓声を間近に聞きながら、という稀なるセッティングで、3試合が行われた。
Photos courtesy of Mark Robinson/Matchroom Boxing Text_Yuriko Miyata
〇…メインのスーパーフェザー級10回戦は、カリフォルニア州出身同士の戦い。プロデビューからマッチルーム傘下で戦ってきた中部フレズノ出身のWBC米大陸チャンピオン、マーク・カストロ(13-0, 8KOs)が、地元ロサンゼルス出身のジョージ・アコスタ(17-3, 3KOs)を7回1分10秒負傷判定、フルマークで破り、初防衛に成功した。挑戦者らしく積極的に攻めをスタートさせたアコスタの様子を偵察して、カストロは初回の終盤から応戦。見栄えのいい左右フックを叩きつけてアピールすると、2回からは巧みな出入りで完全にペースをつかんだ。

4月の前戦でこのスーパーフェザー級の地域王座に就いたものの、それまでしばらくライト級で戦っていたカストロにとって、コンディション作りは簡単ではないはず。計量時は健康が心配になるほどのやつれぶりだ。が、リカバリーがうまくいったのだろう。体がよく動いている。アコスタが前に出てもパンチの打ち出しが遅れるところを、すかさず突いた。ワンツーに左フック。そして打ち終わったら止まらず動く。このパターンが機能して、中盤に入る前にアコスタの顔面は赤く腫れてきた。5回に連打をまとめると、カストロは6回からギアを変えてワンサイドマッチを終わらせにかかった。大きなモーションでヘッドバットも厭わず、強い左右コンビネーションを上下に打ち分け、がんがん攻める。そんな中で7回、二人の頭が激しくぶつかると、アコスタの右目がにわかに腫れ上がった。ドクターチェックで、アコスタは視界が失われたことを認めて、試合はここで終了。7回を含む採点の結果、ジャッジ三者とも70対63でカストロを支持した。「二人とも同時に踏み込んでクラッシュが起きてしまった。こんな終わり方は不本意だけど優位は示すことができたと思う。できり限り130ポンド(スーパーフェザー級)でいきたいけれど、135ポンド(ライト級)も含めてチャンスを求めていく。世界ランク入りにつながる試合をしたい」。

〇…ウェルター級10回戦には、WBAウェルター級1位のシャクラム・ジヤソフ(ウズベキスタン、16-0, 9KOs))が登場し、メキシコの中堅、ミゲール・パーラ(22-5-1, 14KOs)を判定で破った。が、僅差の2-1。KO勝ちに繋げられたかもしれないクリーンなボディブローをローブローと“誤審”され減点される不運はあったとはいえ、世界1位ははやや精彩を欠いた感があった。クロフォードと戦う同僚マドリモフを快勝で激励する気持ちがあったはずだが、スタートからパーラに先手をとられたことが、長く尾を引いた。というより、無名のメキシコ人が曲者だったのだ。パーラはロングジャブと右アッパーを使い分け、ジヤソフの右にはすかさず右をリターンする。

3回になって、ウズベキスタン人はギアを上げた。フェイントをいれてタイミングをずらし、右クロス、ボディストレートと、クリーンヒットを奪っていく。メキシコ人はいっときスローダウンしたかに見えたが、それでも6回には息を吹き返し、リターンでジヤソフの左目を腫らした。そして7回。そんな中で件の“誤審”が起きる。レフェリーはローブローをすでに何度か注意していたからかもしれない。ジヤソフの左ボディがきれいに入ってパーラの動きが止まると、そこへレフェリーは割って入り、ジヤソフから1点を減点。パーラにはしばしの休息が与えられた。チャンスを遮られただけでなく、貴重な1点を失うことになったジヤソフは、そこから目の色を変えて攻めに出る。左右スイッチしながらパーラの顔面を叩き、カウンターをとる。が、左目尻から血を滴らせるメキシカンは最後まで不倒を貫いた。採点は、95対94、96対93、94対95の2-1。金星を信じたパーラ陣営は怒り、ジヤソフ陣営も「判定を盗まれそうになった」と怒り心頭だった。「接戦だとは思わなかった。たしかに難しい戦いではあったけれど、いい経験。次はベルトを懸けた試合をしたい。準備はできている」と、無敗を守ったジヤソフは言う。世界ランク入りして久しい31歳は、チャンスを待ち続けている。

〇…この日の初戦は、20歳の元トップアマ、ネイサン・ルゴ(アメリカ、2-0,2KO) のプロ第2戦。レイ・コロナ(アメリカ 4⁻2)とのスーパーミドル級4回戦で、スタートから強打を振って出た。2回になるとパンチはより正確になって、ヒット&防御が機能する。ガードを固めて防戦一方に見えるコロナは、実は右クロスのリターンを狙っていた。が、それでも貝のように丸まっている時間が長すぎて、2回54秒、レフェリーが試合をストップした。これで2戦2勝2KOとなったルゴのコーナーには、テオフィモ・ロペスと同じデビッド・マクウォーター・マネージャーの姿が見える。インスタグラムのプロフィールによると、25度の国内タイトルと、2つの国際大会金メダルを獲得。アマ戦績は223勝19敗で、KOは40以上だという。だが、過ちもある。昨年の全米選手権時に採取されたサンプルで大麻成分が検出され、同選手権での結果はすべて抹消されたのだ。しかし、全米アンチドーピング協会の要件をクリアし、資格停止は今年2月からの1ヵ月にとどまった。そしてプロ転向を決めると、フランク・ウォーレン率いるクイーンズベリープロモーションと契約した。順調に歩んで
