12月13日、カリフォルニア州サンタイネスのチュマシュ・カジノで、トム・ロフラー率いる360プロモーションの月例興行が行われた。同プロたたき上げのセルヘイ・ボハチュク(ウクライナ)が暫定ながら世界王座に辿り着いた2024年。8月にバージル・オルティスJr.(アメリカ)から2度のダウンを奪いながら判定で敗れ無冠となったが、むしろ名を上げた一戦だった。そんなボハチュクが育ったロフラーのクラブファイトシリーズ。今年最終戦のメインでは、無敗のカザフスタン人、サドリディン・アフメドフが経験豊富なラファエル・イグボケ(アメリカ)とのミドル級10回戦を7回56秒KOで終わらせた。
Photos: Lina Baker/360 Promotions Text : Yuriko Miyata

8月の360プロ契約初戦で派手な初回KO勝ちを収めたサドリディン・アフメドフの第2戦。2019年までカナダのアイオブザタイガープロモーション傘下で戦い、今年アメリカ・ロサンゼルスに拠点を移したカザフスタン人は、今回からゲンナディ・ゴロフキンらの元トレーナー、アベル・サンチェスとコンビを組んでいる。引退状態から活動を再開し、再びビッグベアにジムを建てた名伯楽とその師匠ベン・リラが見守る中、アフメドフはサウスポーのラファエル・イグボケに対してスタートから精力的に右を狙って出る。右がヒットするとイグボケが飛び上がるほどの威力。左ボディ、右クロスと、その豪腕を振って早期決着を目指した。ところが、イグボケの柔軟サウスポースタイルはなかなか崩れなかった。これまでボハチュクやイスライル・マドリモフ(ウズベキスタン)らの前でもダウンを拒み続けた曲者は、長い右ジャブでアフメドフの左目を早くから腫れさせ、4回には左目下を切り裂いた。ムキになって強振を続けるアフメドフは、5回あたりには打ち疲れの感も見え始め、6回にはイグボケの左アッパーでアゴが上がる場面も。しかし7回、アフメドフはカウンターの左フックを機に一気に畳みかけると、レフェリーストップまで攻め切った。

「サンチェスの元でハードに練習してきたのでとてもうれしい。試合を見に来てくれてありがとう。今回の相手は初回のうちにタフだとわかったよ。でも私もタフだから。160ポンド(ミドル級)より自分には154ポンド(スーパーウェルター級)が適正だと感じるので、戻していきたいと思っている」と語った26歳の勝者は、これで15戦全勝13KO。イグボケは23戦17勝7KO6敗となった。
〇…セミファイナルのスーパーライト級8回戦で、リオ五輪アメリカ代表のカルロス・バルデラスが1年5ヵ月ぶりにリング復帰した。昨年7月、ナヒー・オーブライト(アメリカ)に判定負けでプロ2敗目を喫し、トップランク社との契約を失ったバルデラスは、今年4月に360プロとサイン。「2敗を味わって、やっと自分は成熟し、過去最高にやる気になっている。手を差し伸べてくれたトムに感謝しているし、ともに歩む新たなチャプターが楽しみだ」と語っていたが、6月に予定された契約初戦は対戦相手の大幅体重超過でキャンセル。8月の再スケジュールは、自身の腰の負傷で先延べに。そんな紆余曲折を経てようやく上がった今回のリング。ロンドン五輪コロンビア代表の39歳セサール・ビジャラガとの元オリンピアン同士の8回戦で、バルデラスはシャープなジャブで先制する。しかし大ベテランビジャラガは怯まない。意外に伸びる右でバルデラスを脅かし、主導権を獲りに行く。「久々すぎてやっぱり錆はあった」というバルデラスにエンジンがかかったのは3回。ビジャラガの右に左フック、左ボディと強打を合わせ、印象的なヒットを量産すると、懸命に攻め返すビジャラガを6回、右ショートカウンターでノックダウン。痛烈なダウンから立ち上がったコロンビア人にジャブ、ワンツーを叩きつけたところで、レフェリーストップとなった。
「難しい1年だったけれど、リングに戻って来られて嬉しい。祖母も祖父も見に来ているんだ。妻や子供にもいいクリスマスプレゼントができた」と、故郷サンタマリアから車で30分もかからぬ地での再起を喜んだバルデラスは、これで17戦15勝13KO2敗。ビジャラガは23戦11勝5KO11敗1分。

〇…この日の第一試合、女子スーパーフライ級4回戦で、アマ時代に国内制覇15度のパーラ・バザルデュア(アメリカ)がプロデビューした。長身166㎝からのジャブ、ワンツー、ボディに右アッパーとスムーズなコンビネーションでモリー・バッコウスキ(アメリカ)をスタートから一方的に打ち続ける。1ラウンド半ばまでに左フックでカウントを聞かせると、バッコウスキに反撃のチャンスをまったく与えないままレフェリーにストップを決意させた。昨年、ドイツでの国際トーナメントを初めて制した後、父の母国メキシコからパリ五輪出場を目指したが、タイでの国際予選で敗退。プロ転向を決意した。名トレーナー、マニー・ロブレスに長く師事。WBO女子世界スーパーフライ級チャンピオン晝田瑞希(三迫)ともスパーを重ね、待望のプロデビューに備えてきた。マッチルーム傘下で戦うクリステック・バザルデュアは実兄。先々楽しみな19歳だ。

月例興行の内容も盛りだくさんで凄く勉強になりました。アベル・サンチェス、マニー・ロブレスと豪華ですね