
12月14日、カリフォルニア州オンタリオのトヨタ・アリーナで行われたゴールデンボーイプロモーションの2024年最終興行。メインのウェルター級世界ランカー対決、アレクシス・ロチャ(アメリカ)対ラウル・クリエル(メキシコ)の10回戦は引き分けで決着つかずも、再戦を見たいと思わせる熱闘だった。
Photos : Golden Boy / Cris Esqueda Text : Yuriko Miyata
ゴールデンボーイプロモーションがお膝元、南カリフォルニアのファンに贈るクリスマスプレゼントと言うべき好カード、ウェルター級のWBO2位のアレクシス・ロチャとWBC5位のラウル・クリエルの10回戦。同プロが手塩にかけて世界上位に育て上げた選手同士の勝ち抜き戦である。ロチャは昨年10月、WBO1位まで上り詰めてチャンスを待つ間にジョバンニ・サンティリャン(アメリカ)との世界ランカー対決で6回KO負け。心身とも大きな痛手を負った初黒星から、27歳の好戦サウスポーは2連勝で這い上がってきた。一方のクリエルは、リオ五輪ライトウェルター級メキシコ代表から、2017年に鳴り物入りでプロデビュー。ロサンゼルスを拠点にフレディ・ローチに師事する無敗の技巧派パンチャーももう29歳。2歳年下のベテランとの今回のマッチアップは、年上のホープにとって初めての“テスト”だった。

「世界挑戦のチャンスへ扉を開けてくれる一戦。この戦いへ向けてハードトレーニングを積み、過去最高の仕上がりだ」と自信をみせていたそのクリエルが、ジャブの差し合いから強いコンビネーションにつなげて戦闘の口火を切る。上背のあるクリエルは強いパンチでアピールすると、それを合図にロチャは多彩なショートパンチで倍返し。中間距離の打ち合いに巻き込んで、ボディを叩き、左アッパーを差し込み、しっかりラウンドを制していく。「クリエルはいい選手、無敗の選手。だが連勝には必ず終わりが来るんだよ。心身とも最強の状態に仕上がった。このチャンスをものにしてみせる」と語っていたロチャは、経験の差を見せつけ、中盤までにはっきり優位に立った。だがクリエルも引かなかった。そして7回以降、パンチングパワーで巻き返しにかかる。ロチャの手数に、クリエルは印象的な右アッパー、右クロスで応戦。終盤もいずれ譲らず死闘の様相のまま12回終了を迎えた。

読み上げられた採点は、116対112でジャッジ1者がロチャを支持。残る二人は114対114。1-0のマジョリティドローという結果に。傘下の世界ランカーが二人とも“生き残り”、一番安堵したのはゴールデンボーイプロなのだろうが、戦った二人も即座に再戦を望んだ。「ファンが一番のジャッジで、観衆の反応を見る限り、彼らが今日の勝者だったと思う。来年にはこの戦いの続きを望む」とリング上でインタビューに応えたクリエルは先に会見の場にやってきて、「より一生懸命に取り組んで、自分がもっとリングの上でいい仕事ができるってことを見せたいと思う。アレクシスはとても誠実で勇敢なファイター。尊敬している。再戦はどうなるかな。私はファンに素晴らしい試合を届けるために、学び続け、努力し続けるよ」と真摯に語った。続いて姿を見せたロチャも、「あの激しい内容を考えればもちろん勝利を持ち帰りたかった。接戦にしたくなかったが接戦になった。全般的には自分の力が上回っていると思うし、自分はもっとできたとも思う。が、彼もいい選手。アッパーが巧いのもビデオを見て知っていた。終盤はとくにいいパンチをよくつないできた。効きはしなかったけれどね。でも見栄えはよくなかったのは理解できる」と、自身の反省と相手への敬意を語った。お互いにとって、ウェルター級の頂に挑むための関門。さらに難しくなる再戦は、さらに激しい戦いになりそうだ。
ロチャは28戦25勝16KO2敗1分。クリエルは16戦15勝13KO1分。
〇…セミはスーパーウェルター級10回戦。WBO同級3位、WBC5位でチャンスを待ち続ける元オリンピアン、チャールズ・コンウェル(アメリカ)がアルゼンチン人サウスポー、ヘラルド・ベルガラを7回2分57秒でストップした。20勝無敗同士の対決とはいえ、ベルガラはこれが初めての国外遠征で、かなり慎重な立ち上がり。硬さがとれないまま左を上下に送り込むと、コンウェルがカウンターで迎え撃った。「少しずつ相手をブレイクダウンしていく、それが最初からのプランだった」というコンウェルは、ブーイングの中で着々とパンチの数に重さもプラスして、ベルガラを下がらせる。アルゼンチン人が反撃を試みた6回をやりすごすと、7回終盤、左ショートフックをヒット。すかさず左右フックを畳みかけて、レフェリーストップを呼び込んだ。攻防ともまとまった力で3連続KO勝ちとなったコンウェルは、21戦全勝16KO。同じGBP傘下の現WBC暫定王者バージル・オルティスJr.(アメリカ)への挑戦を熱望している。ブライアン・カスタニョと同門のベルガラは21戦20勝13KO1敗に。

〇…WBAスーパーフライ級7位のジョン・ラミレス(アメリカ)は、エフレイム・ブイ(アメリカ)に3-0の判定勝ちで、空位のWBA北米大陸王座を獲得した。今年4月にデビッド・ヒメネス(コスタリカ)に判定で敗れ、守ってきたWBA1位の座から転落したラミレスは、これが再起戦。長身サウスポーであるブイに先攻を許したが、徐々に距離を詰めてインサイドに入り込み、細かいパンチで中盤までにペースを奪った。終盤は疲れも見えるブイに印象的な右ストレートをヒット。ジャッジ3者とも97対93をつける明白な勝利だった。ラミレスはこれで15戦14勝9KO1敗。初黒星のブイは11戦10勝8KO1敗。

〇…元WBA・WBC・WBO統一女子世界フライ級チャンピオンのマーレン・エスパルサ(アメリカ)も再起。同郷の英雄ロッキー・フアレスを新たな参謀に迎え、同じくフライ級で4度世界王座を獲得した大ベテラン、アレリー・ムシーニョ(メキシコ)とのスーパーフライ級10回戦で判定勝ちを収めた。4月の前戦、ガブリエラ・アラニス(アルゼンチン)との直接再戦で体重超過を犯して3王座を失い、試合にも敗れたエスパルサは、今回もフライ級の体重を作ることを事前に断念して114.6ポンドで計量終了。一方、昨年10月にガブリエラ・フンドラ(アメリカ)にIBFフライ級王座を奪われて以来の再起戦だったムシーニョは111.8ポンドを作っており、向き合った両者には明白な体格差があった。勤勉なムシーニョの攻撃を巧みなテクニックで封じると中盤以降は長い距離で処理。終盤には左フックなどクリーンヒットし、97対93、98対92×2の3-0で勝利した。戦績は17戦15勝1KO2敗。キャリア初の2連敗を喫したムシーニョは40戦32勝11KO5敗2分1無効試合。

〇…GBPのYouTubeチャンネルで放映された前座で、番狂わせがあった。GBPと契約し3戦目だった無敗の22歳ジョシュア・ガルシア(アメリカ)を、ネブラスカ州オマハからトレーナーと二人でやってきた33歳、ウリセス・アベリノ・レイジェス(アメリカ)が2回2分4秒でストップしたもの。左右スイッチしながら構えるレイジェスは初回早々、自信満々に前に出るガルシアのアゴを跳ね上げてダウンを奪い、2回に左フックで2度ダウンを追加してレフェリーにストップを決意させた。ガルシアは10戦9勝4KO1敗。レイジェスは4戦3勝2KO1敗。昨年3月にプロデビューし、昨年11月の前戦でも無敗相手に勝利を挙げていた。新年2月にはオマハの隣の州都リンカーンで4回戦が組まれているようなので、ひそかに注目している。
